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Rock is(ロックイズ)

Drop’sの中野ミホが好きな映画、おすすめの映画を紹介

Drop's 中野ミホの「まほうの映画館」

2019/11/18

第十九回「でたらめ歌って、おれたち、DOWN BY LAW」

 

みなさんハロー。
十一月! あぁ、秋ー!
個人的にもっともわくわくするシーズンが始まりました。秋冬大好き。
やっぱり自分が生まれてはじめて吸った季節の空気は、体に合うのかなぁ。(十一月生まれ)
毎朝生まれ変わるような気がします。

 

さて。今月はなんか個人的にこの時期に絶妙にマッチする、大大大好きなこの監督の映画!
『DOWN BY LAW』。1986年、アメリカとドイツの作品。
監督はジム・ジャームッシュ。主演はミュージシャンとしてご存知の方も多いであろう、トム・ウェイツ、
そしてこちらもジャズバンド「ラウンジ・リザーズ」のサックス奏者ジョン・ルーリー、
最後にロベルト・ベニーニ。

ニューオリンズで暮らすポン引きのジャック(ジョン・ルーリー)は同業の男に、
落ち目のラジオDJザック(トム・ウェイツ)は知り合いの男に
それぞれハメられてしまい、無実の罪で刑務所の同じ房に入れられます。
そこに、陽気なイタリア人ロベルト(ロベルト・ベニーニ)が収監されます。
だんだんと仲良くなる三人。ある日、ロベルトが刑務所の庭に逃げ道を見つけたと言い出し、彼らはあっさり脱獄に成功します。
だが外は寒くてどこだかわからない延々と続く沼地……。三人はどうなるのか!
という、白黒のロードムービー。

ジム・ジャームッシュ、私が今までで一番多くの作品を観た監督。
もうー、この上なくすき。
そしてトム・ウェイツ、今となっては、世界で一番好きかもしれないミュージシャン!
この作品との出会いはたぶん高校生の頃、憧れのミュージシャンのかたの好きな映画に挙げられていて、ふむふむ、観てみるか〜と鑑賞。その頃はそもそも洋画も有名なものしかあんまり観たことなくて、もちろんトム・ウェイツやジョン・ルーリーの存在も知らなかったのです。

冒頭、白黒のどこかさびしい、かさかさした街並みを、車で走っているみたいに横から流して撮られている映像。
そして流れる「Jockey Full of Bourbon」……!!
えー! 衝撃的にかっこいい。。もう未知の素敵さでした。

そして、画面の中のトム・ウェイツに見事にやられました……!(ハート)
チェックのパンツにポロシャツ、サスペンダーにハットを被って、ジャガーを運転しながらあの声ででたらめに歌うシーンなんて最高。素敵すぎます。涙
今思えば、この映画で自分の好きなものの大部分が確立されたと言っても過言ではないかも。

それからトム・ウェイツの楽曲、人物ともに大好きになり、CDやレコードを買いあさり。
ジャームッシュ作品も大好きで観続けています。
今回は何年か前にリリースされた彼の初期3作品のDVDボックスが家にあったので、久しぶりに出会いのダウン・バイ・ローを観ました!

おそらく数年ぶりに観たのですが、内容こんなに面白かっただろうか…と思うほど面白かった!笑
当時はきっとこの雰囲気に圧倒されていたのだけど、大人になってから観ると改めて、あぁー、ほんとに好きだわぁとしみじみ思いました。

まず三人のキャラクターがとっても魅力的なのです。
それぞれ囚人服の着方とか(ザックは半袖をまくって襟を立ててる、ロベルトはボタン全部閉めててかわいい。)、歩き方とか、細かいところまで見てると面白い。雑に見えてなんかとてもお洒落。
そしてどうでもいいような、特にオチのない不毛な会話が途切れ途切れにあるのとかも大好き!
絶妙にシュールな長回しとか、なんかリアルで愛おしくなってしまう。くすっと笑ってしまう。
人間味がすごくあるのです。

あっさり脱獄しちゃうし、色々と適当なんだけど全然冷めたりしなくてどんどん三人のことが好きになっていく。
ザックとジャックがロベルトのことをじーっと見てる後ろ姿のカットとかほんとにいいな。
ミュージシャンであるふたりと、イタリア人俳優ロベルトのこの化学反応たまらなく面白かった!
最後に登場するイタリア人のカフェの女主人がすごく美人だなぁと思ったら、のちにロベルト・ベニーニとほんとに結婚したらしい!笑
二人が踊るシーンも最高です。

ジョン・ルーリーのとんがった感じもかっこいいんだなぁ。
劇中の音楽も手がけていて、近年は画家としても活躍している多彩なひと。
(ちなみに91年に彼が監督、出演した謎の釣り番組「Fishing with John」に
トム・ウェイツもジャームッシュ監督もゲスト出演してます! めっちゃシュールです…YouTubeで観られるのでぜひ!笑)

もちろん映像もクールです。最初のほこりっぽい街、部屋、脱獄する時の地下道?の感じとかもすごく綺麗だし、白黒の秋の森とか沼の感じも好きだなぁ。
本当にわたしのアメリカへの憧れの原点です。
他にも『デッドマン』とか『ナイト・オン・ザ・プラネット』とかも特に好き!

ラストのザックとジャックの別れ方もいいよなぁ〜。
上着を交換して、なんかヘラヘラ笑いながら分かれてさ、握手もろくにせず。

こういうとあれかもしれないけど、男の子っていいなぁと思ってしまったな。
なんかどうしようもなくて、でもいつでも冒険で、突然取っ組み合いのケンカしたり歌い出したり、でたらめだらけでほこりっぽいけどまっすぐ。
アイスクリームの叫び出すシーンとか、最高だなって思った!
結局みんないい奴で、ユーモアがあってかっこいいです。
もし自分が男の子だったらトム・ウェイツのようになりたい!笑
カッコつけてるけど大げさでなくて、キュートで、甘くて。ずっと憧れの人です。

 

うん、やっぱり自分にとってジャームッシュ監督の作品は特別だなぁ。
ただの雰囲気映画とは言わせない、このひとの絶妙なポップ感があるなぁと今回あらためて思いました。
だからこういう映画を全然知らない時にはじめて観ても大好きになったんだと思う。
この感じは誰にも真似できないんだろうな、できそうでできない!
なんだかちょっとふわふわしてて特に何も考えなくてもよくて、笑
それでいて知的で、満たされる唯一無二の世界があります。

 

そんなジャームッシュ監督、新作はまさかのゾンビ映画らしいです。笑
『The Dead Don’t Die(原題)』!!
来年春には日本でも公開されるようで、もう今一番の楽しみ!
出演者もめちゃくちゃ豪華です。ひぇ〜待ちきれない。。
ジャームッシュ作品観直して待とうかしら。それも幸せー!

 

というわけで、寒い日には映画館か、お家で映画を観るのが最高ですね。
みなさん風邪ひかないようにね。
秋の夜長はあったかくしてお過ごしください。

ではまた来月お会いしましょう〜。
バイバイ。

Drop's 中野ミホ連載 第十九回「でたらめ歌って、おれたち、DOWN BY LAW」

 


『ダウン・バイ・ロー』

監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
1986年:アメリカ/西ドイツ
ダウン・バイ・ロー(予告編)

LIVE INFO

2020年2月28日(金)大阪・梅田Shanrri-ra
「Magnet ~北のシンデレラと南のヴィーナス~」
OPEN 19:00/START 19:30
出演:Anly/Drop’s

チケット:3,500円(税込・D代別)
オフィシャル先着先行受付
受付URL:https://eplus.jp/axd/
受付期間:11月13日(水)12:00~11月27日(水)23:59
※受付期間内に、受付URLへアクセスし、お申込みください。
※お申込みにはe+(イープラス)の会員登録(無料)が必要です。
※新規e+会員登録には携帯電話番号の登録ならびに、ショートメッセージ(SMS)による携帯電話認証が必要となります。
※お申込みは先着順です。予定枚数に達し次第、受付を終了いたします。

一般発売:2019年12月17日(火)18:00~
各プレイガイドにて発売

5th album 『Tiny Ground』

2019年9月20日(金)リリース
BZCS.1179/2,778円+税

Drop’s 5th full album『Tiny Ground』

全11曲収録
1. Tシャツと涙
2. EAST70
3. 毎日がラブソング
4. Lost in Construction
5. Cinderella
6. Blue
7. Little Sign
8. アイラブユー
9. 天使とラストシーン
10. 春の羊
11. マイハート

Drop’s 5thAlbum『Tiny Ground』 trailer